第38号 創運から見た初期仏教 その1(2015.01.大寒)
最深部に届かない深層心理学
38号 ― 50話 『 創運から見た深層心理学 』より 抜粋
無意識が意識生活に介入し行動に影響を与えるというフロイトの主張は、我が身を以て経験していることだし、心はエネルギーであるとするユングの主張も大枠では同意できる。
先祖の抑圧された欲望が、恋愛、友情、職業、疾病における選択行動となって現れるというソンディの学説がいささか常軌を逸しているように思えても、実際にそれを地でいく事例を目の当たりにしていると納得せざるを得なくなる。死に方における選択行動も、リーディングに限らず多くの事例を集めるうちに肯定できるようになった。
つまりこれらの学説はみな、無意識という、自分の中の別人格が持つ属性や働きについて正しく表しているのである。このため私は、衝動理論や指導の背景として創運に取り入れている。(中略)
では、深層心理学の学説を理解すれば、それだけで運命軌道を修正、変更できるのかと言うと、全く「NO」だ。残念ながら、人間の運はこれだけで語れるような単純かつ浅薄なものではない。(中略)
我々の人生では、重大な岐路から些細な出来事まで、あらゆるフィールドにおいて、
無意識層から湧き上がるエネルギーと、現実の意識活動との複雑な綱引きが行なわれており、それが運を形作っている。エネルギーの源は、フロイトが言う個人的無意識層やソンディの言う家族的無意識層だけとは限らない。人間の根源に連なっている超潜在意識層に存在することもある。
そんな最深部から現れるエネルギーは、言わば生・死につながる神秘の営みが現実世界に顔を出したものであり、運とは、そのような力と我々との知恵比べの結果なのである。
ところが深層心理学は学問であるがゆえに、頭で理解できる“浅い”ココロのエリアで完結している。ソンディ理論などは、運命の一角を解明するものであることは間違いないが、それはあくまでほんの一角に過ぎない。深層心理学が把握していない無意識の働きはまだまだあるのだ。
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